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RSウイルスから赤ちゃんを守る:妊娠中のワクチンと抗体注射の選び方

結論から: 英国の最新データによると、妊婦へのRSウイルス(RSV)ワクチン接種が通年で行われた最初の1年で、RSウイルスにより集中治療室に入院した生後6か月未満の赤ちゃんは約50%減りました1。小さな赤ちゃんを守る方法は現在2つあります。妊娠中にお母さんがワクチンを受けるか、生まれた赤ちゃんに長時間作用型の抗体を注射するかです。ほとんどの赤ちゃんは、どちらか一方で十分です2。

最新のデータで何がわかった?

重症例が半減。 英国保健安全庁(UKHSA)は2026年8月13日に年次報告を公表しました。監視に参加する20のNHSトラストで、2025–26年の冬にRSウイルスによる胸部感染症が確認されて集中治療室または高度治療室に入院した生後6か月未満の赤ちゃんは63人。前年は131人でした1。2025年3月から2026年2月に出産した女性のうち、61.7%がこのワクチンを受けていました1。

予防効果は8割超。 UKHSAは2026年4月17日、約30万人の赤ちゃんを対象とした研究を発表しました。これは同じ期間にイングランドで生まれた赤ちゃんの約90%にあたります3。

  • お母さんが出産の少なくとも2週間前に接種していた場合、赤ちゃんがRSウイルスで入院するリスクは81.3%低下
  • 接種から出産まで4週間以上あると、効果は約85%
  • 出産の10〜13日前の接種でも、入院は50%減少
  • 早産の赤ちゃんも、接種から出生まで2週間以上あれば守られていた

なぜ小さな赤ちゃんはとくに注意が必要?

RSウイルスはありふれたウイルスで、ほとんどの子どもが2歳までに感染します。多くはかぜのような軽い症状ですみますが、細気管支炎や肺炎に進むことがあります4。米国疾病対策センター(CDC)は次の数字を挙げています4。

  • 生後3か月未満の乳児100人のうち、毎年2〜3人がRSウイルスで入院
  • 予防製剤が導入される前は、米国の乳児の入院原因の第1位で、5歳未満の子どもが毎年推定58,000〜80,000人入院
  • 月齢が低いほどリスクが高い。早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患のある子、免疫が低下している子はとくにリスクが高い

UKHSAは、リスクのない誕生月はないものの、夏の終わりから秋に生まれた赤ちゃんがRSウイルスで入院する可能性が最も高いと説明しています1。

妊娠中のワクチンと赤ちゃんへの抗体、どう選ぶ?

CDCは、すべての赤ちゃんが次の2つのどちらかで守られることを勧めています2。

妊婦へのRSウイルスワクチン 乳児への長時間作用型抗体
対象 妊婦 お母さんが妊娠中に接種していない生後8か月未満の赤ちゃん
しくみ お母さんの体でできた抗体が胎盤を通って赤ちゃんへ 抗体そのものを赤ちゃんに注射
米国での時期2 妊娠32〜36週。多くの地域では9月〜翌年1月 RSウイルスの流行期の少し前。流行期(10月〜翌年3月)に生まれた場合は生後1週間以内
効果の続く期間 生後約6か月 少なくとも5か月

補足です2。

  • 妊婦が接種してから抗体ができて赤ちゃんに移るまで、約2週間かかります
  • 乳児向けの長時間作用型抗体には現在、ニルセビマブとクレスロビマブの2種類があります
  • 生後8〜19か月の一部のハイリスクの子ども(早産で慢性肺疾患のある子、重い免疫不全のある子など)は、2回目の流行期の前にニルセビマブをもう一度受けられます

国によって運用が異なります。 英国のNHSは妊娠28週から通年でワクチンを提供し、妊娠のたびに接種するよう勧めています5。一方、米国CDCは現時点で、次の妊娠での再接種は勧めておらず、生まれた赤ちゃんへの抗体投与を勧めています2。お住まいの地域の方針に従い、妊婦健診で自分から尋ねてみてください。健診の内容は妊婦健診スケジュールにまとめています。

妊娠中のワクチンは安全?

NHSによると、よくある副反応は軽く短期間でおさまります。注射した部位の腫れや痛み、頭痛、体の痛みなどです。また、妊娠中に接種するほうが、赤ちゃんがRSウイルスにかかるリスクよりもはるかに安全であることが研究で示されています5。CDCは比較表の中で、現在も調査が続いている可能性のあるリスクとして、妊娠高血圧症候群(妊娠高血圧腎症を含む)も明記しています2。高血圧や関連する既往のある方は、産科の担当医と相談してください。

RSウイルスワクチンは、百日せきワクチンやインフルエンザワクチンと同じ日に受けられます。ただしNHSは、まとめて受けるために待つのではなく、案内されたらその都度受けるよう勧めています5。インフルエンザワクチンについては子どもと妊婦のインフルエンザワクチンをご覧ください。

症状と受診の目安は?

CDCによると、初期の症状は鼻水、飲む量や食べる量の減少、せきで、その後ゼーゼーしたり呼吸が苦しくなったりすることがあります。発症から数日たって悪化することが多いとされています4。生後6か月未満の赤ちゃんでは、次のような様子だけの場合もあります4。

  • 機嫌が悪い、動きが少ない
  • 飲む量が減る
  • 10秒を超えて呼吸が止まる

RSウイルスに感染しても熱が出ない乳児は少なくありません4。体温だけで判断しないでください。

呼吸が苦しそう、水分が十分にとれない、症状が悪化している場合は、早めに受診してください4。

よくある質問

推奨の週数を過ぎてしまいました。まだ受けられますか? 地域の方針によります。英国では陣痛が始まるまで接種できます5。UKHSAは、出産の約10日前の接種でも効果は期待できるものの、間隔が長いほどよいと説明しています1。米国では、妊娠32〜36週に接種しなかった場合、生まれた赤ちゃんが長時間作用型抗体を受けられます2。

妊娠中にワクチンを受けました。赤ちゃんにも抗体が必要ですか? 多くの場合は必要ありません。CDCは、ほとんどの赤ちゃんは両方を受ける必要はないとしています2。

一度RSウイルスにかかりました。またかかりますか? かかります。NHSは、ほとんどの人が一生のうちに何度も感染すると説明しています5。

この記事は英国UKHSA・NHSと米国CDCの公開情報をもとにまとめたものです。RSウイルスのワクチンや抗体製剤が使えるかどうか、対象となる妊娠週数や月齢は国や地域によって異なります。お住まいの地域の保健当局や医師の指示に従ってください。赤ちゃんの呼吸が苦しそうなとき、飲む量が明らかに減ったときは、すぐに受診してください。

参考文献

Footnotes

  1. UK Health Security Agency. (2026, August 13). Newborn ICU admissions drop 50% in first full year of RSV maternal vaccine programme. GOV.UK. https://www.gov.uk/government/news/newborn-icu-admissions-drop-50-in-first-full-year-of-rsv-maternal-vaccine-programme ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  2. Centers for Disease Control and Prevention. (2025, August 18). Immunizations to protect infants. https://www.cdc.gov/rsv/vaccines/protect-infants.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  3. UK Health Security Agency. (2026, April 17). RSV maternal vaccine cuts baby hospital admissions by up to 85%. GOV.UK. https://www.gov.uk/government/news/rsv-maternal-vaccine-cuts-baby-hospital-admissions-by-up-to-85 ↩

  4. Centers for Disease Control and Prevention. (2026, February 20). RSV in infants and young children. https://www.cdc.gov/rsv/infants-young-children/index.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  5. NHS. (2024, September 1). RSV vaccine. https://www.nhs.uk/vaccinations/rsv-vaccine/ ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

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